RIMS共同研究

「オイラー方程式の数理:渦運動と音波150年」


開催日程 平成 21年 7月 21日(火) -- 23日(木)
開催場所 京都大学 大学院人間環境学研究科大講義室 (アクセス)
研究代表者 福本 康秀 (九州大学・大学院数理学研究院)
副代表者 服部 裕司 (東北大学・流体科学研究所)

趣旨

 2009年は,オルガンパイプからから出る音波に関する記念碑的な論文を Helmholtz が発表して(1859)からちょうど150年になる.``ヘルムホルツ方程式" によってオルガンパイプから放射される音波の解析を行い,周波数や強度,節の位置などを決めることに成功した.波動方程式の解にGreen関数を初めて本格利用したこの論文は,数理的な音響学の始まりであると同時に,キルヒホッフの光の回折公式などに多大な影響を与えるなど,その後大きく発展するグリーン関数による偏微分方程式の数学解析の規範となっている.同じ頃,Helmholtz は ``渦度 (vorticity)" という概念を導入した (1858).

 20世紀の中頃,Lighthill によるジェットノイズの解析を契機として「音波」と「渦」の結びつきが強まり,音源と音波の双方を包括的に扱う方法が発達した.「電磁場」,「プラズマ」,「超流動流体」,「天体・宇宙(重力場)」にも類似の現象が見受けられる.近年は実験/観測技術の進歩や計算機の発達とあいまって,非線形領域において新たな展開を見せている.実用面においても,コンサートホールの設計,騒音緩和の能動制御システムの構築などにおいて,精度の高い数理・数値解析のニーズはますます高まっている.

本研究集会は,渦運動と音波にかかわる (1) 現象とそのモデル解析,(2) Euler (Navier-Stokes) 方程式の数学解析,(3) 科学史,を中心として,それぞれの分野の第一線に立つ研究者が, 渦と波,そしてその相互作用に関する話題の現在最新状況の俯瞰を行ない,研究者の共有認識を作ることを目的とする.


プログラム(PDF Version):

7月21日(火)


13:15〜13:20 代表者挨拶, 趣旨説明
13:20〜14:20 神部勉(陳省身数学研)
渦運動による音波の発生(歴史と理論と実験と) ( 講演要旨 )
14:20〜14:50 高橋公也,宮本真孝(九工大・情報工),高見利也,小林泰三,西田晃,青柳睦(九州大・情基セ)
エアリード楽器の発音機構:流体と音の相互作用の数値解析 ( 講演要旨 )
15:10〜15:40 藤山将士,坪田誠(大阪市大・理)
量子乱流の普遍的な性質〜量子乱流と古典乱流の対応〜 ( 講演要旨 )
15:40〜16:10 足立洋之,藤山将士,坪田誠(大阪市大・理)
熱対向流量子乱流の渦糸法による数値計算 ( 講演要旨 )
16:10〜16:55 杉本信正(大阪大・基礎工)
温度勾配のある細管内の圧力波の伝播 ( 講演要旨 )

7月22日(水)


10:00〜11:00 藤田肇(日本大・総合科学研)
二次元物体から放射されるエオルス音の特性 ( 講演要旨 )
11:20〜11:50 加古孝,水谷俊(電通大・情報工)
エッジトーンの2次元数値計算のPC による試み ( 講演要旨 )
11:50〜12:20 M. Langthjem (山形大・理工), 中野政身(東北大・流体研)
A three-dimensional study of the hole-tone feedback problem ( 講演要旨 )
13:45〜14:15 鶴秀生(日東紡音響)
木琴の時間領域数値解析手法の検討Euler-Bernoulli 梁モデルから Mindlin 平板モデルまでの検討 ( 講演要旨 )
14:15〜14:45 松岡千博(愛媛大・理)
密度成層と表面張力を伴った界面における有限振幅定在波解 ( 講演要旨 )
14:45〜15:15 竹内宏光,笠松健一,坪田誠,鈴木直也,斉藤弘樹(大阪市大・理)
原子気体ボース・アインシュタイン凝縮における量子流体力学的不安定現象 ( 講演要旨 )
15:40〜16:10 前川泰則(神戸大・理),Thierry Gallay (Grenoble 大, France)
Burgers 渦の安定性に関する数学解析 ( 講演要旨 )
16:10〜16:55 木田重雄(京都大・工)
歳差回転球体流れの高レイノルズ数および低ポアンカレー数極限 ( 講演要旨 )
18:00〜懇親会

7月23日(木)


10:00〜10:45 阪上雅昭,奥住聡,富永真太郎(京都大・人環)
遷音速流と音のブラックホール
11:00〜11:30 岩津玲磨(東京電機大・工),鶴秀生(日東紡音響)
波動音響に対するシンプレティック時間積分法の最適化 ( 講演要旨 )
11:30〜12:00 佐藤祐子(お茶大・情基セ),河村哲也(お茶大・理)
波動方程式を用いた回転翼から発生する音波伝播の数値シミュレーション ( 講演要旨 )
13:30〜14:15 吉田善章(東京大・新領域)
流れ場のClebsch 表現について ――基本的事項と応用 ( 講演要旨 )
14:15〜14:45 古川勝,吉田善章(東京大・新領域),徳田伸二(原研)
シア流を含む非一様プラズマ中のMHD波動と安定性 ( 講演要旨 )
15:15〜15:45 服部裕司(東北大・流体研)
渦運動と音波:Hill の球形渦の場合 ( 講演要旨 )
15:45〜16:15 増田茂(首都大・理)
原型のNavier-Stokes 方程式の2定数理論とテンソル ( 講演要旨 )
16:15〜16:45 福本康秀(九州大・数理), 廣田真(原研)
渦波の非線形相互作用によって誘導される平均流 ( 講演要旨 )


※ 耐震改修工事中につき,会場が数理解析研究所でない点にご注意ください.


※ 7 月22 日(水) 午後6:00 より懇親会を催しますので,ご出席賜れば幸いです.


2008年RIMS研究集会: 「オイラー方程式の数理:渦運動150年」

2007年RIMS研究集会: 「オイラー方程式250年: 連続体力学におけるオイラーの遺産」



Last update: May 9 2010
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